東京高等裁判所 昭和29年(う)2193号 判決
被告人 鄭春子 外一名
〔抄 録〕
弁護人の控訴趣意第一点について。
然しながら、原判示第二の(一)の覚せい剤注射液の譲渡の仲介によるこれが譲渡の幇助行為自体と同判示第二の(二)の覚せい剤注射液の所持の行為とが、記録に照らし、刑法第五十四条第一項前段所定の一所為数法の関係になきは勿論通常の経験として相互に同項後段にいわゆる犯罪の手段、結果の関係にあるものとは到底考え得られないところであつて、原審が、証拠に基ずき、右二個の所為を認定し、これが所為につき公訴の趣旨とするところに従い併合罪の関係に在るとして処断したのは洵に正当であつて、原審において、不法に公訴を受理した所論言うが如き違法は毫も存しない。所論は要するに、証拠上それぞれ別個独立の犯罪に属し併合罪として処断すべきことの明らかな右二個の所為を独自の見解に基ずいて、或は一罪の一部であると言い、或は科刑上の一罪として処断さるべき牽連犯の関係にあると強調し、これが前提として原判決を非難するものであつて到底採用するに由がない。論旨は理由がない。